|
最高速度(さいこうそくど)
最高速度(さいこうそくど)とは道路や鉄道等において、法令の下で、車両がそれ以上の速度を出してはならないとする最高の速度。各種交通機関などに対して法令で定められており、制限速度とも規制速度とも言う。
ここでは日本の道路において、法令の下で、車両等が出すことのできる最高の速度について説明する。()は標識の番号である。
車両等は、次の最高速度に従わなければならない。最高速度は、車両等の種類により異なる。
以下、「最高速度」の道路標識 (323) や道路標示 (105) によって最高速度が指定されている区間を、単に最高速度が指定されている区間という。また、その指定されている最高速度は法的には指定最高速度というが、一般的な規制速度という言葉は特にこのことを指す。
なお、「特定の種類の車両の最高速度」の道路標識 (323の2) によって車両の種類を特定して最高速度が指定されている場合には、当該特定された種類の車両(トロリーバスを除く)については、以上のような通則は適用されず、全て当該道路標識により指定された速度が指定最高速度として適用される(無論、当該特定された種類の車両以外の車両に対しては、当該道路標識は効力を及ぼさない。)。
また、最高速度に違反するスピード違反車両等を取り締まる場合における緊急自動車には、最高速度に関する規定は一切適用されず、制限なしとなる。警察のパトカーや高速道路交通警察隊・交通機動隊の高速パトカー等による取り締まりの場合がこれに該当する。
法定最高速度は、次の区分に従い次のとおりとなる。ここで、本線車道とは、高速自動車国道または自動車専用道路の本線車線により構成する車道をいう。
まず、道路には設計速度が設定されているため、最高速度は設計速度と同じかそれ以下の速度となる。
最高速度は昭和54年に出された規制速度算出要領によって決められていた。これは、車線数や交差点の数、中央分離帯の有り無し、住宅や店舗が道路沿いにあるかなどをポイント化し、それを足して行く形で決められていた。規制速度算出要領では車線数によるポイントが大きいため、郊外の片側一車線道路は全てが50km/h規制になり、また、車線数の多い都市部では60km/h規制になることが多々あった。これにより、実勢速度が70km/h - 80km/h程度で流れている道路が50km/h規制になったり、または実勢速度が40km/h - 50km/h程度でも60km/h規制になるなどの矛盾が生じることも多々あった。
近年、この規制速度算出要領が廃止され、各県が自由に標識を設定できるようになった。これにより、郊外では60km/hに引き上げられたり、バイパスなどの地域高規格道路では80km/hや70km/hに引き上げられるケースも出た。また、自動車専用道路は以前は最高でも80km/hと決められていたが(片側二車線以上の場合)、100km/h規制の自動車専用道路も出てきた。規制速度算出要領が廃止された現在でも、これを基準に決めている自治体も多く存在する。
現在、実勢速度を基準にする85パーセンタイルの導入も検討されている(欧米で導入されている決め方)。
実際のところ、高速自動車国道の中央分離帯の無い区間(簡易分離帯により対面通行が実施されている暫定2車線等)、自動車専用道路の一部は標識や標示によって最高速度70km/hに指定されることも多い。また、自動車専用道路のうち都市高速道路の多くは標識や標示によって60km/hまたは50km/hに指定されることが多い。逆に、法定最高速度が普通車で60km/hである一般国道の自動車専用道路で、高速自動車国道並の規格で作られている区間(高規格幹線道路等)では、「100(大型貨物等・三輪・けん引を除く)」「80(大型貨物等・三輪・けん引)」「50(最低速度)」の3つの規制標識が掲示されている(主に東水戸道路等)。
実際の運用において高速自動車国道以外の自動車専用道路を60km/h規制にする場合、法定最高速度であるため最高速度の規制標識を立てなくてもよいことになるが、多くの区間では建てられている。これは、高速自動車国道において、法定速度を100km/hとして最高速度の規制標識を省いているところ、一般利用者にとって高速自動車国道も高速自動車国道以外の自動車専用道路も道路規格が同じであるため(高速道の設計速度は80km/h - 120km/h、自動車専用道路の設計速度は80km/h - 100km/hの場合が多い)、見分けがつかないからである。
一般道路では、その道路に道路標識等が無くとも、地域を包括して最高速度を指定(40km/hなど)している場合もあり、その場合には、その地域に入る際にその旨を指定(すなわち、道路標識等により最高速度の指定がされていない道路における当該地域内の最高速度を指定)するような道路標識等が設置されている場合がある。このような道路標識等の設置は判例においても法的有効性が認められている。例えば、○○市において、最高速度「40」で補助標識に「市内全域」とあれば、高速道路等及び幹線道路(最高速度「60」や「50」)や道幅の狭い道路(同「30」や「20」)などで別に最高速度が指定されている区間を除いた○○市内の公道はすべて最高速度が40km/hとなる。
なお、自転車を含む軽車両については法定最高速度が規定されていないことから、標識や標示によって最高速度(指定最高速度)が指定されていない区間においては、最高速度が無制限であるとする解釈も可能ではある(これを盾に取ったクイズも存在する)。しかし、レース参加中でない自転車等が一般道で60km/hを越える高速度を出すことは、少なくとも法令上は予定されていないともいえ、実際に30km/hを超える速度で進行する自転車については、民事上の過失割合について加算要素とするのが標準的となっている。
また、諸外国では、高速道路は110km/h - 130km/h、都市部・住宅地を除く一般道路は80km/h - 100km/hぐらいに制定されていることが多いのに対し、日本の最高速度(高速道路100km/h(一部の路線のみ、指定された区間で80、70、60)・一般道路60km/h)はこれに比べると非常に厳しい規制となっている。これは当時の道路事情(特に郊外の一般道路のほとんどが未舗装状態)などが影響しており、舗装道路が多い現在でも諸外国に比べて曲率半径が小さい箇所が多いことや勾配が急である箇所が多いことが原因となっている。その他、日本の道路は交通量が過密なことや道路の密度が高く信号や交差点が多いという事情もある。
ただし、実態との乖離が激しいため(特に郊外:85パーセンタイルで15km/h - 30km/h)に2006年の10月から3年間かけて、警察庁は最高速度引き上げを検討している。高速道路や一般道路での最高速度引き上げを検討する一方で、住宅街などの生活道路での大幅引き下げも検討されている。
法定最高速度を超過して検挙された場合、違反点数が付され、反則金が科される。一般道路で30km/h以上、高速道路で40km/h以上超過した場合(反則点数6点以上の場合)は、反則行為に該当しないため(非反則行為)、通常の刑事手続となる。また、反則金を支払わず、再三の督促を無視し続けている場合も刑事手続に移行することになる。
以下の各反則金は、大型車(中型車を含む)・普通車・自動二輪・原付自転車の順で、単位は円である。
ここでは日本の鉄道において、監督省庁の認可および設備・車両設計上の環境の下で、鉄道車両等が出すことのできる最高の速度について説明する。
鉄道においては列車を高速で走行させることよりも、列車を安全に停止させることの方が技術的に困難である。日本では鉄道運転規則によって、列車が非常ブレーキをかけてから600m以内に停止させる必要があった(600m条項)ため、営業最高速度はこれによって制限されていた。また、新幹線における200km/hを超える最高速度は、新幹線鉄道における列車運行の安全を妨げる行為の処罰に関する特例法によって必要な措置を講じた上で600m条項の例外とすることで実現したものである。在来線においても、高架橋上やトンネル内で踏切がないなどの線区の事情に応じて、特認により最高速度を引き上げた例が見られる。
鉄道運転規則は2002年に廃止されたが、現在この関係条文は鉄道に関する技術上の基準を定める省令第106条の解釈基準において、非常ブレーキによる制動距離は600m以下を標準としているものの、防護無線など迅速な列車防護の方法による場合は、その方法に応じた制動距離とすることができるとしている。
ただし、線区の最高速度を引き上げるためには、走行する車両の性能向上ばかりでなく、軌道の強化や曲線におけるカントの扛上、速度制限のある分岐器の交換などの改良工事、信号システムの変更など、設備への投資が不可欠となる。近年では、その費用を鉄道事業者ではなく沿線の自治体等が第三セクターを設立して負担し、高速化を行う事例もしばしば見られる。
また、鉄道利用客が重視するのは最高速度よりもむしろ表定速度(距離 ÷ トータル所要時間)であり、所要時間短縮のためには、瞬間的な最高速度を上げるよりも全体的な速度向上の方が効果的である場合も多い。具体的には上述の設備投資のほか、車両面でも、線形の劣る路線が多いわが国では、曲線通過速度を引き上げるため振り子式車両を導入するなどの手段が講じられる。
実際の営業運転において定められている最高速度である。後述の設計最高速度が営業最高速度よりも高い場合であっても、回送列車を含め営業列車では営業最高速度以下の速度で走行しなければならない。
車両の走行性能(主に動力性能)の観点から、車両(車種)ごとに設定されている理論上の最高速度。鉄道車両における性能指標の一つである。多くの場合営業最高速度と同じかそれよりも高いが、高い場合は試運転や高速走行試験でのみ実際に記録することができる。