物 (法律)

従物
と言えば・・・

(もの;羅res なお、実務上「もの」「者」と区別するために「ブツ」と読む場合がある。)とは、民法上においては私権ないし所有権の客体を示す概念であり、私権の主体である人(自然人又は法人)に対する概念である。

日本の民法では物は有体物をいうものとされる(民法85条。ただし、物権の客体は物以外にも拡張されることがある(権利質、地上権や永小作権上に設定される抵当権など))。その他、さまざまな法分野において登場するがその定義は必ずしも一致せず、場合によっては無体物を含むことがあることに注意を要する。

日本の85条は「この法律において「物」とは、有体物をいう」と規定する。「有体物」の解釈をめぐっては学説に対立がある。

動産と不動産は物の基本的な分類である。民法は土地及びその定着物を不動産とし(86条1項)、不動産以外の物をすべて動産としている(86条2項)。なお、自動車・船舶・航空機も動産であるが、独自の公示方法があるなど一般の動産とは異なる扱いを受ける。

物の所有者が、その物の常用に供するため、自己の所有する他の物をこれに附属させたときは、その附属させた物を従物とする(87条1項)。従物を附属させられた側の物は主物と呼ぶ。従物の処分は主物の処分に従うとされる(同条2項)。

なお、不動産に従として付合させた物の所有権の帰属は添付の問題となる(242条)。

物の用法に従って収取される収益や物の使用の対価として受けるべき収益を果実といい、これらの収益を生み出す元となる物を元物という。条文では果実は物であると規定されているが、通説によると法定果実は有体物ではなくむしろ典型的には金銭債権である。

代替不特定物、種類物とも。債務不履行や瑕疵担保責任を論じる際に問題になる。

種類債権(401条)参照。

市場において代替できない物、または401条2項によって特定が生じた物のことをいう。債務不履行や瑕疵担保責任を論じる際に問題になる。特定物の引渡債権につき、400条。

代替物・不代替物との違いは,物の性質上の区別ではなく、当事者の意思を重視した区別である。

物については一物一権主義が原則であるが、担保目的の便宜のために集合物という概念が用いられることがある。

所有権者が異なる数個の動産が物理的に分離不可能または著しく困難になった場合、一物一権主義の原則からその結果生じた物(合成物等、民法247条)の所有権者を決定する必要が生じる。この問題を物の添付(てんぷ)といい、民法では以下のような規定がある。

物上代位の目的は条文上は「物」であるが、金銭債権も含まれる。

刑法の移転罪の客体は「物」ではなく「財物」である。財物の項目を参照。

これに対し、「非移転罪」の客体は「物」であり、規定上「財物」とは区別されている。もっとも原則的な意味においては「財物」と異ならないものとして理解されているようである。